リフレーミング(reframing)してみよう

~「リフレーミング」は心理学の家族療法の技法で、これまでと異なる角度からのアプローチ、視点の変化、別の焦点化、解釈の変更という「フレーム」の架け替えによって、同じ「絵(状況)」でも違った見え方になり、自分や相手の生き方の健康度を上げていくことを言います。この能力は誰しも潜在的にもっていると考えられています。 これから私が書いていくことは、ジャンルを超えて多岐に渡ることになりますが、自分の潜在能力を使って、いま私たちの目の前にあること、起こっていることの真実に少しずつ近づいていけたらと思っています。

不登校とフリースクールの選び方

「バイパス」としての役割と選び方。

不登校=フリースクール」ではありません。選択肢の中の一つと考えましょう。

不登校のなりたて(急性期)は、まず休養させる

 子どもが不登校になると、いつ再登校?別室登校できる?適応指導教室か?フリースクールか?つい特効薬が欲しくなり、親子で焦ってしまいますが、本当は「休養」が何よりの滋養になる時期です。

 とは言え、仕事で子どもだけ家に置いて仕事に出られない事情もあると思います。それでも、無理に登校させられないし、まして学校の別室登校に行くのもかなりストレスが高いはずです。また、朝、皆と同じ時間に登校できないと、小学生の場合は独りで登校させられないので親は送迎しなくてはいけなくなります。対応は簡単ではありません。

 家に子どもが留守番状態にならざるを得ない場合は、何とか割り切って家族、親戚や友人、親切であれば学校や近所の人、民生委員さんなどの人的資源を活用して助けてもらったり留守番の子どもに声掛けをしてもらったりできないか模索します。

 なかなかそうもいかない事情がある家庭では、子どもの不安が強いケースでは、親が仕事を休んだり、辞めたりしているのも現実です。子どもの不登校は家庭にとっては重いものです。これは行政の対策が必要な部分です。

エネルギーが回復してきたら、フリースクールは選択肢の一つになります。

回復期の、再登校以外の一般的な外出の選択を整理しました。

 ①事情が許せば、まだしばらく家でのんびり飽きるまで過ごすのも選択です。家族で散歩や旅行に行くのも良いことです。

②ケーキ作りや料理、犬の世話、近所での買い物、家事のお手伝い、ジョギングなどして楽しく過ごすのも良いと思います。家事は親があまりあてにしない程度が丁度いいでしょう。

③子どもが学びたくなったら、塾や習い事、家庭教師、オンライン学習、図書館に行くなども選択肢になります。科目は好きな科目を1教科だけ始めると入りやすいかもしれません。親が勉強を教えるのも必要な場合もありますが、できれば他人さまに習うのがベターです。中断していたものを再開するのも良いでしょう。

塾によっては滞在時間を延ばして自習時間を使って先生が教えてくれたり、家庭でも科目を選んでオンライン学習ができたりします。

④好きなアニメなどの趣味の買い物やイベントに出かける。動植物を飼育する。畑仕事をする。撮り鉄乗り鉄、バスオタの外出はもちろんOKです。好きなことなら動けるのはかなり元気な証拠です。お小遣いはかかりますね。

⑤学校の別室登校を始めるのも選択の一つです。学校とはペースや滞在時間や配慮事項、条件などを事前に話し合っておきましょう。(原則出席扱いになります。)

別室登校がない学校もまだ多くあります。あっても、別室に介助員や支援員が付いていない自治体も多く、教員が交替でみていて支援が手薄なこともあります。

学校によっては、未だに教室に戻ることが前提の「学習」の場所にしていることもあるので、学校の別室の環境は事前によく説明を聞いておく必要があります。

⑥別室登校と併行して外に通いたい人や、学校には行きたくない人には、自治体が運営している適応指導教室や地域にある民間のフリースクールの利用の選択もあります。

前者は学校と支援の連携が条件ですが、活動自体は無料が一般的です。ほぼ出席扱いになります。

後者の地域の民間のフリースクールでは、学校とは少し距離を取れます。有料で様々なタイプがありますので、事前の見学も含めて考え方や人数の規模、支援員や指導員の質などをよく見極めましょう。フリースクールは都市部に集中しているので地域によってはオンライン利用が主になってしまうかもしれません。出席扱いになるかどうかは校長判断になっているので、学校に通所施設の内容だけは知らせておくと良いでしょう。

 

いずれにしても学校外に通うと交通費がバカになりません。学校から学割を発行してくれますが、定期を買うほどのペースで通所しない子どもの方が多いと思います。

交通費を節約するために、バスに乗らずに長い道のりを歩いていたり、通所回数を減らしたりしている子どもたちも実際にいて気の毒です。交通費への補助が必要です。

療育手帳等をもつ子どもには放課後デイサービスの通所の選択もあります。各自治体の助成があります。対象年齢や送迎の方法についてもそれぞれの運営会社の特色があります。

⑧学校の部活動や課外活動だけ参加する方法もあります。良心的な学校は出席扱いにしてくれますが、教育課程外の原則を持ち出して認めない学校や、1日でも教室に行くことを交換条件にする学校もあります。不登校の子どもの気持ちや支援を考えたら出席でまったく問題ないと思います。

民間フリースクールの種類

  • 地域密着型のこじんまり少数系で、創作活動や遊び、基礎的な学習など見てくれる個人経営のフリースクール
  • 施設もある程度広く、グループで運動もでき、学習や遊びなど多岐に渡って、支援員指導員の大人の数も多くいる経営規模が大きめのフリースクール
  • 通信制高校を運営する企業が(小)中学生向けに行っている学習主体のフリースクール
  • その他、フリースクールではありませんが、不登校児童生徒を受け入れている学校法人も幾つかあります。

※ネットの資料やパンフレットを見ても最初はどれも同じようにみえますが、それぞれ特色があり、細かい違いがたくさんあるので、ゆっくりと比べてみてください。

フリースクールの考え方・入所時の個人面接の有無・活動時間・日常の可能な通学日数・オンラインの利用・学習内容・その他の活動内容・不登校に対する先生たちの専門性や質・学校との連携の有無・学校の出席カウントになるのかなど)

 一つだけでも説明会に参加してみると、親には見えてくることがあるはずです。子どもに合いそうなところをいくつかピックアップしてみましょう。

 

フリースクールを選ぶにあたって(適応指導教室にもあてはまります)

 不登校での学習の遅れや学校出席カウントへの強い思いが先行してしまうと、すぐにでも学校の別室登校や適応指導教室、フルースクールなどへの通室通所を思い浮かべがちですが、子どもの状態や状況はケースバイケースのため、それらを回復期~成長期の子どもを支える一つの方法として考えます。専門家のみたてによる子どもの状態の把握や、本人の意志の尊重が大切です。

 

 フリースクールのメリットとしては、決まった外出先があって人との関わりをあり、学習して学校の出席のカウントにもなることで、学校に行っていない罪悪感やストレスが軽減できる側面があります。

 フリースクールの選択は、事前の見学や説明を受けて幾つかに絞り、子どもに合っているかどうかを必ず親子で判断してください。子どもとの相性があるのです。入ってみて合わないことに気づいても、その時点でも変更するつもりでいましょう。

 また最初から、入ってから直ぐに毎日通ったり長時間滞在したりするのは無理があるので、最初から張り切って過剰適応して挫折しないように気をつけます。人は最初緊張して少しずつ慎重に慣れていくことが自然です。短時間で物足りないくらいから、徐々に慣れていくことをお勧めします。

 中にはフリースクールに週5で通えて、学習にも前向きに取り組む子どももいますが、自分の状態に合わせて自分のペースを調整し、自分が決めた活動や学習に参加して健康度を上げることを第一の目標にすることが大切です。自律的な行動力が第一で、「学力増進」はその後に考えることです。

 また、フリースクールに適応してから、不登校になった同じ学校に再登校を目指すかどうかは、最後は子どもの自己決定に任せましょう。最近は出席が認められるケースが増えているので無理に再登校を考えなくても良くなりつつあります。

中学卒業後を見据える

 現在、高校は、公立では全日制、定時制通信制、単位制とあり。不登校の受け入れにも道が開かれてきていますが、大きな都市では圧倒的な数の民間の通信制高校不登校受け入れの高校などが、それぞれの特色を出し、不登校理解を旗印に掲げて乱立しています。

 経済的の負担の問題や今後の無償化の動向も関わりますが、高校の選択肢が小中学生の学校とは比べ物にならない程広くなっているのも事実です。

 また、公立高校では過年度生は原則受け入れていませんが、民間の通信制では過年度生はOKですし、入学時期も4月に限らない所もあります(夏や秋も入学OKの学校も)。通学のペースの選択やスクーリングの場所や学習コースの特色もあります。オンラインが基本の学校もあります(行事もアバターで参加という学校も)。

 

 そのことを念頭に置いて先行きを考えれば、現在不登校の子どもでも自分の将来への不安が低減し、心身の健康度を保ちながら中学卒業を迎えられることに繋がります。

 高校卒業資格を手にする道は確実に拡がっています。通信制の大学も多くあります。

 不登校の立ち直りは、自分の価値観に合わせて自分の意志で楽しく生きられる選択をすることです。子どものそれぞれ成長の形を認めることから支援は始まります。

 家庭以外の居場所づくりやフリースクールは、使い方次第で不登校の回復期・成長期の子どもの、学校に代わるバイパスとして生き生きと血液を流す機能と可能性をもっています。