リフレーミング(reframing)してみよう

~「リフレーミング」は心理学の家族療法の技法で、これまでと異なる角度からのアプローチ、視点の変化、別の焦点化、解釈の変更という「フレーム」の架け替えによって、同じ「絵(状況)」でも違った見え方になり、自分や相手の生き方の健康度を上げていくことを言います。この能力は誰しも潜在的にもっていると考えられています。 これから私が書いていくことは、ジャンルを超えて多岐に渡ることになりますが、自分の潜在能力を使って、いま私たちの目の前にあること、起こっていることの真実に少しずつ近づいていけたらと思っています。

冬のセルフメンタルケア~認知的アプローチを知る

ストレス重くなっていませんか

自分で簡単にできる心理療法を試してみましょう

今回紹介する記事をぜひ参考にしてください

ストレスがたまる年末年始、そして年度末へ

 今年は苛烈な暑さが6月から始まり10月まで続きました。4~5か月も続いた暑さが終わったかと思うと、僅か2か月でダウンコートの気候になりました。

 

 今年のとても不安定で極端な気候のせいか、気温が下がってから不調に陥っている患者さんが多いと、私のかかりつけ医はぼやき気味に言っていました。

 それぞれが日々の生活の中で日常的に降り積もっていくストレスの上に、今までになかった気候の変化による身体的なダメージの重みが重なったとも言える状況なのかもしれません。

 こういう時期にこそ、自分自身の心身の健康度を維持していくための「ストレスマネジメント」は重要な意味を持ってきます。

「ストレスマネジメント」

 「ストレスマネジメント」は、まず自分の心身の状態を把握するための情報を集める「セルフモニタリング」から始まります。

 

 日々の生活習慣の中での自分自身の心身の変化をチェックしてみましょう。

 体調、食欲、睡眠、生活習慣、気分の変化、仕事とプライベートの時間の使い方、周囲との人間関係などを振り返って、自分の「今」のストレス状態を把握していきます。

 家族や同僚、友人などから自分がどう見えるのかを訊くことも参考になります。

 セルフモニタリングによって把握できた、自分の健康度に合わせて対応を考えていきます。

 ちょっとした休養からストレスコーピング(ストレス対応)、心理療法、医療と段階に応じた対応を行います。

 そのことをきっかけに、日常的にストレスコーピングや簡単なセルフ心理療法を取り入れ「ストレスマネジメント」をしている人も増えてきています。

 今回は「毎日メディカル」の記事に、「認知療法」と「マインドフルネス」(瞑想)が取り上げられていたので紹介します。(産業医心療内科医の石澤哲郎さんの記事です)

 

 認知療法は、認知の歪みに着目して、認知そのものを修正してみる簡単な心理療法です。

 よく知られるようになった「認知行動療法」と似ていますが、「認知行動療法」は認知の歪みに気づいて、そうならないように「行動」を変えていく心理療法です。「セルフモニタリング」の気づきを基にストレスを低減したり回避したりすることは共通しています。

 

 「マインドフルネス」(瞑想)は、呼吸や今の自分の身体に意識を置くことで、昨日や明日の自分ではなく、今日の「今」を生きている自分をしっかり感じることで心の緊張や不安から解放されてストレスを軽減する心理療法です。

 記事を読んで、日々をより健康に過ごすために、参考にしてみてください。

 

【以下記事】

小さなミスでも「私はダメ人間」… ストレスを減らす二つの心理療法     石澤哲郎(産業医心療内科医:12/16毎日メディカル)

 

就労世代の人はさまざまなストレスに囲まれています。

長時間労働や職場の人間関係、昇進や転職といった仕事関係の負担だけでなく、育児や介護、家族関係の悩みなど、プライベートのストレスも少なくないでしょう。

また、ストレスというと「悪い刺激」だけをイメージしがちですが、「マリッジブルー」という言葉があるように、結婚のような良い変化も心理的ストレスになることが知られています。

 

一つ一つが小さな心理的負担であっても、複数が重なると脳が負担に耐えきれなくなり、体調を崩してしまいます。

特に心配性だったり生真面目な人ほど不安が積み上がりやすいため、自分の考え方の癖を理解した上で、ストレスへの対処法を冷静に考えたり、過剰な不安や緊張を抑えたりする方法を身につけることが大切です。

 

今回は一人でもできる簡単な心理療法について学んでみましょう。

 

不機嫌そうな上司を見て「怒られている」

水野さんは真面目な営業マンですが、性格が悲観的で心配性すぎるところがあります。

例えば上司が不機嫌そうにしていると「自分に対して怒っているに違いない」と感じてしまいますし、仕事で小さなミスを指摘されただけでも「やっぱり私はダメ人間なんだ」と悩んでしまいます。

そのため、自宅に帰ってからも仕事のことが不安で深く眠れなかったり、朝の通勤中におなかが痛くなって電車を途中下車したりすることがあります。

最近は仕事が忙しくなってきたこともあり、常に気持ちが休まらない感覚が強く、食事もおいしく感じません。

ストレスサインを知る

常に悲観的な考えや不安が頭から離れず、体調を崩してしまうことは、皆さんも経験があるかもしれません。そんなときに気持ちや心身の健康を立て直すための方法を考えてみましょう。

 

まず前提として、自分のストレスサイン(ストレスがかかった際に表れる心身の症状)を知ることが大切です。

ストレスサインは人それぞれですが、「心身の一番弱い部分に症状が出る」ことが多く、もともと頭痛持ちの人は頭が痛くなりやすいですし、おなかの弱い人は腹痛や下痢などが起こりがちです。

あらかじめ生じやすい症状を知っておくと、早めに不調に気がついて対処を考えることができます。

ストレスサインを知る

常に悲観的な考えや不安が頭から離れず、体調を崩してしまうことは、皆さんも経験があるかもしれません。そんなときに気持ちや心身の健康を立て直すための方法を考えてみましょう。

 

まず前提として、自分のストレスサイン(ストレスがかかった際に表れる心身の症状)を知ることが大切です。

ストレスサインは人それぞれですが、「心身の一番弱い部分に症状が出る」ことが多く、もともと頭痛持ちの人は頭が痛くなりやすいですし、おなかの弱い人は腹痛や下痢などが起こりがちです。

あらかじめ生じやすい症状を知っておくと、早めに不調に気がついて対処を考えることができます。

「認知の歪み」があると柔軟な思考がしにくくなり、ストレスに直面した際に悲観的なことばかり考えてしまって前向きな解決策を思いつけなくなります。

 

こういった認知を修正するためには、自分がネガティブ思考に陥っていることを認識した上で、事実に基づいたバランスの取れた適応的な考え方を思いつく練習をしてみることが有用です。

自分自身で認知の癖に気がつくのが難しい場合は、家族やカウンセラーなど第三者の助言を求めるのも良いでしょう。

【認知のゆがみと適応的な考え方の例】

 <状況1>

上司とすれ違った際に、あいさつをしたが返事がなかった(上司は手元の書類を見ていて忙しそうな状況だった)

  • 認知のゆがみ

 上司は私のことを嫌っているに違いない(結論の飛躍

 

  • 適応的な考え方

 仕事が忙しくて気がつかなかっただけだろう

 

<状況2>

作成した書類の計算ミスを同僚に指摘された

  • 認知のゆがみ

 私はいつも失敗するダメな人間だ(過度の一般化/過小評価)

 

  • 適応的な考え方

 大きな問題になる前に気がつけてトラブルを予防することができた

マインドフルネス…今に目を向ける

二つ目に紹介するのは「マインドフルネス」という手法です。

これは「現在の刺激に注意を向けることで、過去や未来の不安への過度な注目を防ぐ」ことを目的とした心理療法です。

 

一般的に、不安やつらい気持ちは過去と未来からやってきます。

皆さんも、以下のような考えが頭に浮かんでストレスを感じたことはありませんか。

 「昨日、上司にミスを叱責されてつらかった……」

 「明日、顧客との打ち合わせで厳しいことを言われないか不安だ……」

一方で、いま現在に目を向けてみると、意外とつらいことは起きていないものです。

現在の自分に意識を集中することで、不必要な不安やストレスから自由になることを目指す手法がマインドフルネスです

 

マインドフルネス瞑想(めいそう)や歩行瞑想などさまざまな手法がありますが、簡単にできる練習方法として、目の前の食事そのものの味や食感、香りなどに注目する「マインドフル・イーティング」があります。

食事の際には、まず座ってから深呼吸して心を落ち着かせ、仕事のことを考えたり、スマホを見たりするのではなく、ご飯一粒一粒の食感やみそ汁の香り、サラダの歯触りなど、いま目の前にある食材のさまざまな刺激に集中してみましょう。

 

目の前の食事だけに集中してゆっくり味わって食べていると、漠然とした不安な感覚が自然と楽になることに気がつけると思います。

目の前の刺激に集中し、不安も減少

これまでの体調の波や生活の変化を振り返ることで、水野さんは自分の体調不良が仕事やプライベートのストレスと関連していることに気がつきました。

また、不安になると後ろ向きの考え方が強くなったり、胃腸の不調が生じやすくなったりすることがわかりました。

 

その上で、仕事のミスなどで悲観的な考え方が強くなった際には、家族や友人に相談して前向きなアドバイスをもらうことで、「小さい失敗を悩んでも仕方ない」「次に成功すれば大丈夫」と前向きに考えられるようになりました。

 

また、日々の食事や週末に散歩する際には目の前の刺激に集中し、さまざまなストレスからこころや頭を切り離す時間を作るように努めました。

その結果、プライベートで仕事の不安を思い出すことが減り、さまざまな不調も気にならなくなってきました。

【以上記事】

 

※石澤哲郎 (産業医心療内科医)

いしざわ・てつろう 2001年東京大医学部卒。心療内科医として臨床や研究に従事。11年同大学法科大学院修了。司法試験合格。早稲田大統括産業医、東京大心療内科医局長などをへて、14年から産業医事務所セントラルメディカルサポート代表。